薬局における

「いわて中部ネット」の活用

キセキレイ薬局  

北上薬剤師会 会長 三浦 正樹 先生

   病気を治す方法は薬だけではありませんが、薬は治療に欠かせない大切な役割を担っています。薬の飲み合わせはもとより、食品や生活習慣、腎機能、肝機能など患者様それぞれの状態に影響されるため医薬品を安全に使用するためには少しでも多くの情報が必要です。

✴ 肝機能、腎機能等のデータ共有

   薬は肝臓や腎臓で代謝されるため、肝機能、腎機能が低下している人は注意が必要です。単品では要注意の医薬品でも複数組み合わせることで禁忌になってしまう薬もあります。薬局でも検査結果が確認できるようになったことで病院と薬局のダブルチェックが出来るようになり安全性がより高まりました。

✴ 薬の重複や飲み合わせのチェック

   ジェネリック医薬品の普及により同じお薬でも全く違う商品名のお薬があり、患者様は同じ薬だと思わず一緒に飲んでしまう事もあります。また複数の医療機関を受診している患者様の場合、すべての処方情報を同時に確認する事で、医薬品の飲み合わせによるトラブルを回避することが出来ます。お薬手帳を忘れてしまった時でも”いわて中部ネット”に加入していればいち早く気が付き重複を避けることが出来ます。

✴ 来局タイミングを院内治療薬のフォローに活用できる

 抗がん剤など病院の治療で使用されている薬が分かれば、副作用の予測が立てやすく来局時に処方薬以外の副作用の確認をすることもできます。

リアルタイムな情報共有で次回来局時の対応が準備できる

 自分の施設に来ている患者さんの一覧を表示する機能があるので、しばらく来ていない患者様をチェックしておき次回の来店に備えることが出来ます。複数の医療機関で集めた患者様の情報を共有しておくことは心強いです。

薬局からのアウトプット

 薬局で持っている副作用、アレルギー等の患者様毎の情報を”いわて中部ネット”に登録することで他科を受診した時にも安全に薬を使用することが出来ます。

 また処方編集から処方コメント、RPコメントを登録することが出来る為、処方毎に共有したい情報を登録することが出来ます。

稼働して気がついたこと

   稼動してみて実際にネットワークのメリットが感じられるのは複数の医療機関が情報を共有することで情報の取りこぼしが補われていることです。例えば未加入のクリニックの処方内容も薬局が加入していれば”いわて中部ネット”で確認することが出来ます。

まとめ

 ”いわて中部ネット”はもっと日常的になって行くでしょう。ゆくゆくは全国規模のネットワークの構築が国の方針です。今年の新型コロナウイルスの影響もありICT化はますます進むと思います。しかし個人的にはまだまだ黎明期を脱していない分野と感じます。不備なところは改善・改良し市民のためになる環境を構築していく為に協力していきたいと思います。