医院における

「いわて中部ネット」の活用

医療法人ちとせ医院

 理事長 菊池 ちとせ 先生

✴ 先ずは、使ってみました

私が「いわて中部ネット」へ参加した主な理由は次のとおりです。

①検査や処方薬の重複を防げる

②画像(病院の内視鏡画像等)を参照できる

③施設間の情報共有でより良い診療ができる

④医師としてのスキルアップに繋がる

③については、私の専門とする糖尿病は、病気のデパートであり、「病・診」、「診・診」連携が欠かせません。また、十数年のうちに、医療・介護分野におけるビッグデータの活用や情報共有の流れは、益々進むため今から慣れておきたいと考えました。

✴ 円滑な利用のために

当院へいらした患者さんには、出来る限りの参加をお勧めしています。初診の方であれば、先ずは、受付窓口で説明し参加をお願いしています

当院は、予約制ですので診療前に看護師クラークが、予約患者さんの検索を行います。

診察前に他院の患者情報に目を通したり、服薬情報を参照しながら診察を行っています

活用方法と活用シーン

通院されている患者さんが県立中部病院へ救急搬送されて、救急診療を受けて、その後、また自院へ来院するときに県立中部病院における検査結果等の診療情報を参照しています。患者さんは、再度の採血が不要となり得ます。

糖尿病の患者さん合併症を発症し、大きな病院へ紹介した際の情報共有に役立ています

自院にはCTやMRIは無いため、例えば、エコーで腫瘍を疑って県立中部病院へ紹介しCT検査で「がん」が発見され、その画像を閲覧します。自分の勉強になりますし、患者さんへ説明することもできます。

肺炎などで検査画像をCDで届ける場合には時間がかかる場合あります。いわて中部ネットでは、翌日には閲覧できるので情報共有がスムーズです。

紹介・逆紹介をした際に、詳細をいわて中部ネットで閲覧すれば省力化になります。

他院が休診の日に、その医院と患者さんが、いわて中部ネットへ参加していれば、その患者さんが急に来院しても飲んでいる薬が分かります。自分が急に休まなければならない場合にも、当院通院中の患者さんの病名、検査結果、処方名等の情報が他院の先生にも共有できていることで安心できます。

お薬手帳は、貼るのが漏れている場合や、見られたくない薬のシールをわざと貼っていない場合もあるので、その分も把握できます。

県立中部病院の看護サマリが見られるので、患者さんへの指導内容をすり合わせできます。

今後に期待する点

私たち開業医は、かかりつけ医としての役割がより一層求められるようになると思われますが、一方で人手が減って行くことも想定されます。医療・介護情報ネットワークシステムが省力化・効率化に繋がって医療費を節減し、患者さんの地域のカルテになって欲しいと思います

 また、大病院では多くの先生と意見交換し症例検討が出来ますが、医院では困難です。メールやラインのような機能を使って気軽に他の先生と話したり勉強したいと望んでいます。 さらには、岩手県立病院間のシステムや岩手医大とも連携し、機能面でも例えば、栄養指導も情報連携され管理栄養士とすり合わせが出来るようになるなど充実させて欲しいと期待しています。今後ともよろしくお願いいたします