「いわて中部ネットと
新型コロナウイルス感染症」
NPO法人岩手中部地域医療情報ネットワーク協議会 副会長
(花巻市)三浦医院 院長
三浦 良雄 先生
いわて中部ネットは全国で広がりを見せる地域医療情報ネットワークの一つです。住み慣れた地域で安心して質の高い医療サービスを受けながら生活していけるような社会を目指し、ICTを活用して医療情報連携を効果的に進め、地域における質の高い医療に寄与していく取組を進めていく事がこれからの時代に必要だと思います。
いわて中部ネットはすでに平成31年3月に未来かなえネット(気仙医療圏・両盤医療圏)と連結し情報共有範囲の拡大をしています。医療圏を超えて医療、介護福祉を利用する事が多くなってきた現在において医療情報が重要であり更なる繋がりを増やしていく事が大切で期待されます。
今、新型コロナウイルス感染が急拡大しています。岩手県では7月29日まで新型コロナウイルス感染者は発生していませんでした。岩手県中のみんなが感染の最初の一人にならないように注意してきたためだと思います。7月29日に盛岡と宮古に発生してからたったの10日の間に感染者7人に増えてしまいました。岩手県では6・7月よりPCR検査ができるのは帰国者・接触者外来の他に、医療圏ごとに地域外来・検査センターが設立され、検査できる数は飛躍的に増えましたが、もし介護施設など福祉施設で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した場合、情報のやり取りが非常に重要になります。
入所者だけでなく職員も感染、濃厚接触者となると、職員の自宅待機なども考えられ更なる人材不足になることが予想されます。職員が初めから少ない中部医療圏では決して感染の拡大をさせるわけにはいきません。
其時、医療情報システムが情報摂取に非常に重要なります。どこで発生したか。クラスターなのか、何人発生したのか、どういう支援が必要なのか、などの情報が発信され、それを基に予防策の検討が出来るのです。
地域医療情報ネットワークは地域住民に提供される医療・介護・福祉サービスの質を向上させ、地域住民の安心・安全に繋がるとても大切なシステムです。連携が全県下へ拡大し情報共有ができることができる事を期待しています。